身体と心の声を聞きながら暮らす

持病はありますが、穏やかに暮らしたいと思います。

二度目の麻酔科の同意書

母の場合、全身麻酔はリスクが高いので、脊椎麻酔で前回やったらしい。
今回もそうだろう。
実母だから、という以前に、理屈のわからないせん妄状態の小さな高齢者に、背中に太い針を刺して麻酔をする。
麻痺するから手術中の下半身の痛みはない。
けれどものものしい機械に囲まれて、全身を布で覆った人達が、自分に何かをする。
怖いと思う。
その処置、本当は必要ないですよね?
痛みは痛み止めで良いですよね?


昔から葛藤していた。
医師は自分の技術の向上のために、いろいろと処置をやりたがる。
大方必要な処置に決まっているが、99歳の婆さんに抗癌治療しようとして、家族もやめてと言った時、私は医師を止めた。
医師は「一応何かしないと」と言う。
「それをするとどうなりますか?」
「吐くんじゃない?」
若気の至りだった。
29歳の私は声を荒げて医師に
「一応ってなんですか?先生とはお仕事一緒にできません!」
と言って、カルテを机に投げつけた。
結果私は1週間の休養を言い渡され、私の不在時に抗癌治療をして、途中で患者さんは亡くなった。
27年前の話だ。その時を思い出す。


この病院、我が家とは相性が悪い。
父が前立腺がんの時、毎月治療と検査に通っていたが、大丈夫ですよと言われ続けていた。
ところがある日、検査データを見て驚いた。
数値が数千もある。
強引に転院して、私は義父に頼んで一緒に苦情を言いに行った。
父は1ヶ月で死んだ。


私が原因不明の下痢の時
「難病かもしれない、うちではみれない」
と追い払われた。
結論から言えば、オランザピンの離脱症状だったから、どの医師でも見抜けなかっただろう。
あとは昨年。喘息の精密検査を希望して受診して、いざという時夜間に救急搬送された時、対応してもらおうとした。
「睡眠時無呼吸症候群」と言われたが「抗体治療をしませんか?」と言われた。
難病の恩恵を受けられないその病院で抗体治療などしたら、一度に何万円もかかる。
慢性期はみない病院だから、道筋がつけば元の病院に返されるが、医師に断って、とっととリウマチ科に戻った。
夫は「あんたに何かあったら、あの病院にはかからないよ」と言っている。
見ないテレビと使わない冷蔵庫の代金は、最初からデフォルトでアメニティの代金に入っている。
あこぎな病院だ。


口に食べ物を突っ込んで、飲み込めなくて酸素飽和度が下がり、管で吸引する。
苦しいはずだ。
食べさせないで欲しい。


否が応でも手術は決行される。
麻酔科での同意書は、夫が仕事を中抜けしてサインしに行く。
「ばあちゃんの顔見てきたら?」
と言ったが
「もういい」と。


手術後、何日生きるのか、指折り数えるとしよう。
人の寿命はわからない。
前にも書いたが「危篤です」と言って、1ヶ月持つ人もいる。


ただ痛み止めを使えばいいのに。
転院させた方が良かったかと葛藤するが、家族は
「もうわけわかんないんだから、手術してもいいよ」
と言う。
違う。わけがわからないから恐怖を感じるのだ。
されることすべて、オムツ交換でさえ、嫌なことをされると認識するから暴れる。


手術後痛みが取れれば良い。ただ楽になれば良い。

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