身体と心の声を聞きながら暮らす

持病はありますが、穏やかに暮らしたいと思います。

IF

「もし〜だったら◯◯するのに」


日本人だけが「もし〜」と思うわけではない。
英語にも「もし〜」がある。


「もし」とは「仮定」だ。
でも私には「取引」に思える。


「もし仕事に受かったら、一生宝くじを買わないのに」
「神様、もし子供の命を救ってくれたら、私の寿命を縮めてもいいです」


「もし〜」の人生を半世紀過ごした。


「もしお父さんとお母さんが喧嘩しないなら、今日は6時間勉強します」
何を望むと言って、これほど両親が喧嘩しないことを望んだことはない。


恐ろしかった。目の前で怒鳴り合いの喧嘩。
翌日母に学校を休まされる。
遠足の日も休まされた。
父の悪口を、延々と聞かされる。
何時間も話し、午後には私を責める言葉に変わる。
私の欠点を、ありったけ言い
「あんたはお父さんとそっくりだ。お母さんは出ていく。お父さんと2人で暮らしなさい。あんたが学校に行っている間にお母さんはいなくなる」
私は泣きながら
「お母さん、出て行かないで!」
と懇願する。


母は私を試している。
「自分が一番好きだ」と子供に思われることを望む。
それが母の唯一の「存在価値」だった。


私は4歳くらいから小学校3年生までは、頻回な嘔吐と激しい腹痛に時々悩まされた。
母は間違えた看護を施す。
私が吐くから、水分を与えない。
腹痛がおさまっても、食べさせてくれない、飲ませてくれない。
ぐったりする。脱水になっている。死んでしまう。
だが、母は私が具合が悪いと機嫌が良くなり張り切る。
父との喧嘩は止む。


私は4歳から、既にうつ病だった。
こんなに苦しい人生を送るなら、脱水で死ねば良かった。


ぐったりすれば、病院に連れて行かれる。
すぐに入院になる。
母は付き添い、病院食すら半分残すように言う。


カウンセラーさんに
「あなたは虐待を受けていました」
このことを受け入れるのに、1年半かかった。
いや、今でも半信半疑だ。


この前コメントをくださる方に
「自分の好きなように生きて良い」
という主旨を伝えられた。
困惑した。
そんなことをしたことはない。
望んだことは何も叶わない。


昨日夫に
「私は滝乃屋に行きたかったのに、ずっと第一滝本ばかり行った。キャンプに行きたいとあんたが言えば、夜勤明けで一睡もせず付き合った。次こそ私の願いを聞いてくれると思った。すしざんまいに行きたいと言っても、たいしたことないと言う。親子3人でハリーポッターを観にいく約束をして、途中まで行ったのに、俺はどうしても観たくないと言った。パチンコに行ったんでしょ」
これを悲鳴に近い声で叫んだ。
年に数回は繰り返すやり取り。
夫は私が叫び怒るのを恐れる。
結婚して10年間、私は一度も怒ったことはない。
パチンコの嘘がバレた途端に、壊れた。


「もしキャンプに付き合ったら、夫は滝乃屋に行ってくれる」


願いは打ち砕かれる。
望みが叶ったのは4年前。
みかんが奢るから行こうと言ってくれた。
その時も
「第一滝本が良い」
夫は言った。
みかんが夫を説得した。


夫は怒らない。
モラハラをしているのは私だ。
傍目からは「よくできた夫」
母も「優しいお母さん」
皆んな内情を知らないから、私がわがまま扱いされる。


いつからか、望まなくなった。
結構前に「行きたいところも、やりたいこともない」とブログに書いた。
今も望みは叶わない。
そうに違いないと思う。
「もし〜」も思わなくなった。


今日11時から、オンラインの面談だ。
看護師の就職活動で落ちたのは一度だけ。
受かるのが当たり前だった。
望むことでもなかった。


老人看護のエキスパートになりたくて、大学院進学を望んだ。
たくさん勉強した。
毎日12時間勉強した。
みかんの学資保険が解約されていた。
大学院を諦めた。


4歳の時、脱水で死ねば良かった。


母は虫の息だ。
危篤になった時、何と言葉をかけたものか、考えていた。
昨日閃いた。
「母の腕を思い切りつねろう」


小林明子「恋に落ちて」


もしも願いが 叶うなら
吐息を白い バラに変えて
逢えない日には 部屋中に飾りましょう
貴方を想いながら



白いバラならある。
ルシファー。
枕元に飾ってあげようか?
意味は「堕天使」



ずっと私の心は怒りに満ちていた。
今は違う。
怒りは呪いに変わっている。


「人を呪わば穴二つ」
人の不幸を望むと、自分も不幸になる。
構わない。



面談前にシャワーを浴びる。
上半身だけスーツを着る。
企業が望む年齢層は30代。よくて40代。
私は対象外だ。
負け戦に何故臨む?
これはギャンブルか?
そうだ、私はギャンブル依存症だ。


こういうブログを「悪文」と言うのだろう。
二番目に習ったエッセイ教室の講師に添削されて返ってきた言葉。
「最初から大音量で音楽を聴かせるようなもの」
何を書いたか?


手首にカミソリをあて、スーッと引いた。
ポタポタ血が滴り落ちた。
生ぬるい感触に満足していると、背後に気配を感じた。
娘が立っていた。

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