身体と心の声を聞きながら暮らす

持病はありますが、穏やかに暮らしたいと思います。

我が家の介護事情

私がうつ病になってから、我が家は私の両親と同居した。
私が働けなくなったので、両親が家賃+生活費として月10万円入れてくれた。
おかげでこの時はローンを払っていけた。


父は76歳まで働き、77歳で亡くなった。
それは私を可愛がってくれた。
末期がんで入院しても、看護師に、孫のみかんではなく、私のことばかり話していたらしい。
「自慢の娘さんのようで」
と、私がお見舞いに行くと、看護師に冷やかされた。


父がいよいよという段階になった時、私は寝ずにそばに座っていた。
なんとなく床頭台の引き出しを開けたら、手帳が入っていた。
日記をつけていた。


主にお見舞いに来た人や差し入れを持ってきてくれた人のことを書いていた。
だが、書けなくなる数日前の日記に一文、書かれていた。


「にゃーと暮らせて幸せだった」


最期の時、父に語りかけた。
「きっとばあちゃんと仲良く暮らすから」
父は涙を流して亡くなった。


人は死に際に体内から水分が漏れ出ることがある。
父のはそれだろうが、話しかけたら涙を一筋流したから、ちゃんと聞いて逝ったと思う。


その肝心のばあちゃん(母)である。
毒親を肖像画にしたような人だった。
父が亡くなって、母と13年暮らした。
詳細は書かないが、私は追い詰められていて、母に土下座して施設に入ってもらった。
母はがんの手術のため、1年叔母の家で預かってもらい、2年サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)に入居した。
この間に私はカウンセリングを受け、少しずつ古傷を癒していった。


今年1月3日に施設で転倒して1月4日に入院した。
この時母を抱きかかえて私は腰椎を骨折した。


腹が立ったのはサ高住の対応だ。
転んだ時点で電話をかけて来ず、1月4日にペースメーカーチェックのため受診の迎えにいった時
「転んで立てなくなったんです」
と言われた。
右足のつま先を動かすと「痛い痛い」と言う。
折れていると思った。


ペースメーカーの病院に連れていったが、車椅子に乗せる介助を受付に夫がお願いしに行ったら、事務のおじさんが来た。
あかんと思って私が介助した。
何度か移乗の介助をして、あと一回という時に、私の腰がグキっと鳴った。
私は骨粗鬆症で、腰を含めて半年で3回骨折している。


夫に丸投げして私は這々の体で帰宅した。
母は緊急入院した。


1回目の手術後2回脱臼し、再手術が必要ということになった。
説明を受け、母の部屋に車椅子で入ると、モゾモゾ動いており
「誰か、起こして…ダメだって、早く早く」
せん妄状態だった。


2回目の手術を終えて、痛みは無くなったが認知症が進行した。
そしてとうとう口からものを飲み込むことができず、むせて誤嚥性肺炎を起こすようになった。
私は中心静脈栄養(IVH)にして欲しいと頼んだ。
だって、食べなければ腕に点滴する。
母の両腕は紫色になった。
どんなに毒親でも、可哀想だ。


「胃ろう」の選択肢もあったが、中心静脈栄養でお願いした。
ここからいやらしい話になる。


母は身体障害者1級だから、医療費が無料だ。
もちろんパジャマ、テレビ、冷蔵庫、食費は別である。
今はペースメーカーは対象外になったと夫から聞いたが、とにかく医療費がタダだった。
詳細は調べていない。
安易な発言は避けるので、該当の方は、自分で検索して調べて欲しい。


だから余生を病院で終わって欲しいと思った。
どちらにせよ間にリハビリテーション病院を挟むのだが、次の転院先は特別養護老人ホームではなく、長期で医療入院できる病院にしたいと思った。
医療入院だと15万円を超えるから、家族は特養を狙う。
だが母はその心配がない。
IVHを入れるために、胸に「CVポート」というものを入れる。
そこに針を刺すと、注射液が静脈に流れる。
太い静脈なので、高カロリー輸液が可能となる。
これが入れば母は痛い思いをして、抹消から点滴をしなくて済む。
さらにこれは病院でしか管理できない(とこの時は思ったが、看護師が24時間いるところはみられる)
私はそこを狙ったのだ。


ただし際どいことがある。
「介護医療院」の存在。
ここだと介護保険でIVHの管理ができると思う。
そこはケースワーカーと、相談したい。
入院時医師には「ここで最期を看取って欲しい」と依頼した。


さっきまで群ようこさん「老いとお金」を読んでいた。
さっき電子書籍で中盤以降72%まで読んだ。
お母様が脳出血になられ、リハビリテーション病院に移り、特別養護老人ホームに入るまでが書かれている。
いつのことを書いたのかわからないが「要介護1」で特養に入っているから、それなりに前だろう。
今は「要介護3」以上じゃないと、特養に入れない。
お母様は、個室の良い部屋に入られたから月30万円ほどの料金のようだ。
ネットでは今特養は7〜15万円ということになっているが、施設の設備によるだろう。


昨日要介護認定の結果が来た。
要介護1だった母は3ヶ月で要介護5になった。
それなら特養でも良い。
ゴージャスな特養を選ばなければ、上記の金額でおさまる。
寝たきりで食事ができない母は、多床室に入るだろう。
しかも要介護5であれば順番をごぼう抜きで優先してもらえる。
今入院している病院は、実は結構セレブな病院だ。
そこに隣接される特養も悪くはない。
だが、特養に入るなら、CVポートを外して、胃ろうを増設しなければならない。
長期療養病院に医療入院するか、特別養護老人ホームに入所するか、選択肢ができた。


群ようこさんのお友達のご両親の話が書かれていた。
大きな家をたたみ、コンパクトな家を新築して入ってもらおうとした。
東京なので、どうやら1億を超える一戸建てを建てたようだ。
それまでお手伝いさんを雇ったり、高級老人ホームに3ヶ月入ってもらったという。
そこが月額70万円!
そもそもがお金持ちのお宅なのだろう。
だが施設でお母様が急変し、入院する。
今日明日という状況で点滴をガンガン入れて、浮腫んでしまうから、新居にお母様を連れ帰り、24時間看護師をつけたそうだ。
月15万円ほどらしい。
お母様は新居に2週間住まわれて、旅立たれた。


自分の老後のお金を貯めなきゃという時に、両親の介護がつくと、誰かが仕事を辞めてつきっきりで介護するか、高額な老人ホームに入居してもらうか、特養になる。
特養は申し込んでも順番ではない。
要介護5が優先され、要介護3は後回しになる。
だが要介護5なら動かないが、要介護3だった義父は、強い認知症で、そこいらじゅうに排便排尿をして、グループホーム内の人に怒ったりしていたようだ。
暴力が度を越せば、強制退去となり、子供がみることになる。
義父は誤嚥性肺炎になり亡くなった。
正直夫も義母もホッとしたのだ。


コロナ禍になり、特養の9万円が払えなくて、親を引き取る家族が増えたと本に書いていた。
大丈夫だろうかと思う。
外に出て徘徊する高齢者もいれば、義父のように排泄の不始末をしたり、怒鳴られたり叩かれたりしても対応したり、オムツ交換をしたり、着替えをさせたり…
親御さんは老齢年金をもらっているだろうし、自営業なら年金がわずかかもしれないが、会社員とその妻なら、その金額なら払えそうなものだが…
よそ様のお財布事情はわからない。


私は働けなければ、介護は無理だ。骨折する。
今も歩行のリハビリ中だ。
私自身、満身創痍だ。


父が77歳で亡くなった時はショックだった。
葬儀は立派なものをあげた。
だが今父が存命していたら92歳。
両親とも認知症なり介護度が高いと、詰む。
父は居ず、母はパジャマ代、オムツ代などアメニティ代のみで済んでいる。
母の年金でおさまる。
不謹慎にとられるかもしれないが、我が家はラッキーだった。
地獄の沙汰も金次第だ。


…………………
【追記】


IVH管理ができる老人ホームがあるようです。
ただし割高になります。

×

非ログインユーザーとして返信する