身体と心の声を聞きながら暮らす

持病はありますが、穏やかに暮らしたいと思います。

ハインリッヒの法則

私が看護師長になった時に、前師長が教えてくれた。 


「1件の重大な事故・災害の背後には、29件の軽微な事故・災害があり、その背景には300件の異常がある」


医療現場にもニアミスはある。
ぬるい老人病院とかなら、「まあ、いいよ」と人間関係を壊したくないから、それで済ませる。
私は新人の頃、市立病院だったから、今で言うパワハラに耐えながら、ミスに罵倒されながら2年半仕事で揉まれた。
ベテランでもミスしそうになると、他の人から指摘され、時に喧嘩になっていた。
常に緊張した職場だった。


師長を辞めて、幾つか目の病院に就職した時のこと。
ちょっとしたミスを「そのくらいで落ち込まなくていいよ」と励ます病院だった。
怒られないから、ストレスを感じず働けた。
ところがである。
とうとうやってしまう事例が起きた。
輸血の間違いである。
ある看護師が、1分ほど違う患者に輸血をした。
別の看護師が見つけた。
大事には至らなかった。


もし状態が悪化していたら。
私が当事者なら、その病院を辞める。
看護部長のお咎めだけで済んだが、間違えられた患者さんの家族が知り、患者さんが亡くなっていたら「業務上過失致死」になるだろう。


実は医療現場はちょくちょく間違えている。
絶対に間違えてはいけない職業だが、医師も看護師も人間だ。
普通にミスをする。
うまく隠蔽できれば良いが、バレたら社会問題になるケースを見聞きしてきた。
私が指導した後輩が、取り返しのつかないミスをして、家族に都合の良いように説明して事なきを得たこともある。


夫は300以上の部下のミスを放置したから、最後に大きな失敗があって、会社を去る羽目になったと思っている。
なにせ良い人に見られたい夫は、部下を教育しない。
自ら勉強もしない。
部下がミスをしたら、指導しなければいけない。
管理者は孤独である。
孤独に耐えられなければ、その仕事に向かない。


みかん自身の責任ではないが、軽い気持ちで私に話したことに、私は危機感を覚えた。
だから持論を述べた。
結果泣いてしまった。
でもそれでも良かったと思っている。


自分を守る術は「基本を守る」ことだ。
今の時代、パワハラになるから強く言わないのだろうが、ある程度の緊張感は必要だと思う。


道を踏み外してほしくない。
私はもう働けないから、偉そうなことを言える立場にはない。
ただ、経験則で言っている。
普段「いいよいいよ」で済ませる職場は危険なのだ。
職場によって違うだろうが、医師、薬剤師、看護師は「完璧主義」でなければいけない。
それなりの対価を得ているのだ。
だから昨日の若い看護師の発言に、反応した。
そしてみかんのエピソードを聞いて、頭を殴られた。
私はみかんに甘い。
テレビも食事も洗濯も、全て提供している。
お笑いを見て、一緒に笑っている。
それだけなら平和だ。


だがみかんは医療従事者だ。
これは譲れない。
なぜならいつか自分に火の粉が降りかかるからだ。
わかってくれれば良いのだが。

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